<2005.6.18> 夢は束の間
・・・晴れ・・・

早朝の作戦会議 地図上の気になる記述に

釘付けと成った 其れは支流に沿いそのまま

峠を越え裏山へと伸びる林道 処が大きく山を

迂回して 此の先源頭部へと抜け出すからで

可也手前にゲートは有るそうだが 目の前の

ゲートも 良く見りゃぁ鍵は外れ落ちるではないか

ましてバイクなら そんな規制も問題外と成る?

まぁ一応”進入禁止”と表示されている事だし

無理な突破を敢行する事もあるまい これも源流

への味付けソースののひとつと割り切れば 

それはそれで楽しいものだ。


すっかり昇りきった太陽の下 地道の林道は奥へ

伸びて行く 植林は進み今回私が求められた

理由のひとつ 野生獣の痕跡は今の所薄い?

1羽のヤマドリが林道上を 我々の案内人よろしく

チョロチョロ走り回るくらいだ。

汗を拭き々 一気に林道終点まで詰めてしまった 傍らの源流帯の姿はザワザワと落水 水量は乏しいが釣りには

不足な程では無い さぁ此処から深く閉ざされた源頭部へと覗きに行こうぜぃ相棒・・・・・。

落差のきつい渓は白っぽい岩石が積み重なり開け明るく 気持ちの良い遡行が続いて行くが 大物が潜みそうな

ポイントは未だ現れない  二人で幾等かのチビ岩魚を釣り上げては笑みが零れる 釣師ってぇ奴はほんと現金な

もので 魚の顔さえ拝めりゃ幸せ気分に変われるものだ  視線を上げると一段上のポイントで何やら抜き上げては

魚体を示してる? 慌て駆け寄り手網の中を除き見る 何と手にする魚はアマゴでは無いか 人の手により此処まで

上げたとは思えないし まして下から遡上は考えにくい 此れはきっと例の対岸林道を使い源頭放流されたものだろう

だとすれば 結構あの道は知る人にとって 特に漁協関係者には使い込まれたアプローチルートと云う事に成るかも

水量は相変わらずの物足りなさだが 妖しげな雰囲気を醸し出し源流部特有の様相に変わり行く・・・・・。

深みを抱えた落ち込み壷が点在しだすと さあ

此処からが この源流行脚のメインなのだろぅか

しかし先刻から視界に割り込む 対岸のズリか?

砂礫の白い斜面が緑の中に浮き上がる 気に

していた林道が ついに其処まで伸びてきたか?

林道工事で 土砂を谷に落とすとこんな砂地の

多い山では良く見かける光景だ。

渓は此の先 木々が上空を覆い鬱蒼としだして

妖艶な雰囲気を見せ始め この日始めてだろう

どん深の淵を持つ落ち込みへと相対した・・・・

此処ならでかい岩魚が待ち構えても不思議ではない  しかしさっきから気に成り出した何らかの気配!此れは何だ

野生獣の其れとは違う不快な気? 注意深く周囲を見回すと その気配主の痕跡は 黒い岩盤の上に記されていた

”先行者” それも通って一時間と経っては居ない 先の砂地上にもくっきりと・・・。      此処まで来たのにぃ

残り幾等も要らず この目で源頭部確認が出来ただろうに ずっと抱いていたひょっとしての不安が 現実のものと

して突き付けられ 我々は渓を下る決断をするしかなかった


バリバリバリ 谷間を揺する騒々しさは まるで戦地の武装ヘリの襲来を思わせる爆音 二機のヘリが眼下の谷間を

絶え間なく行き来する 左の尾根辺りから谷を渡っての 右下方の集積場への木曽檜のピストン輸送 その回転率は

恐ろしく速く荒っぽい なんせ下したワイヤーに二本の丸太端を縛り付け 振り回す様に飛び去ると 交代のヘリが

山肌を擦るような低空で飛来する よくあんな遣り方で失速したり丸太を落とさないものだ 感心!つい見惚れてしまう

まてよぉ? 我々あの真下を抜けなならんじゃん今から   此れは怖いものが。